バカでかくて長い触手が、四方八方、グネグネ蠢いている。
その不恰好な動きは、言っちゃなんだけど不気味なタコ踊り集団にしか見えない。
これって平素だったら腹を抱えて笑う光景だけど、現状、笑えない!
うわ、うわ、砂浜中、びっしり触手だらけだ!
焦ってキョロキョロと首を動かしているあたしに、門川君が鋭く叫んだ。
「天内君! 逃げろ!」
「無理!」
間髪置かずに即答した。
よく見てよ! どこもかしこも、狂喜乱舞のタコの舞いだらけじゃん!
これじゃどこにも逃げられないって!
「無理じゃない! 力ずくで逃げろ! 少しは体も動くはずだ!」
「無理なものは無理! それに術発動中の門川君を置いて、あたしひとり逃げられないよ!」
「そんなことを言ってる場合じゃない!」
すぐそばの触手が、狙いを定めたようにビタッと動きを止めた。
ハッと見上げると、その先端が槍のように鋭く尖り、こっちを向いている。
げ、ヤバイ! と思った瞬間、予想通りソイツがあたしに襲いかかってきた。
「天内君!」
触手の先端はシュッと風を切りながら、ひと呼吸の間にあたしの眉間の寸前に迫った。
その目にも止まらぬスピードたるや、あまりの素早さに、瞬きする余裕すらない。
・・・やられるー!
―― ドーーーン!
ズシッと内臓に振動が響き、鮮烈な閃光が目を刺す。
あたしに襲いかかった触手が白い煙をあげながら、ズンッと砂地に倒れた。
・・・これ、雷撃!?
倒れたままの絹糸が、緑色に染まった目を吊り上げながら触手を睨みつけていた。


