―― ザアァァーー・・・!
浄火の体を高々と宙に突き上げながら、砂を掻き分け姿を現したモノ。
その、そびえ立つモノを見上げながら、あたしは驚きのあまり悲鳴も引っ込んだ。
信じられないほど巨大化した、ほとんど家一軒分の大きさのイソギンチャク!?
どっからどうみても、地球侵略しにきたエイリアンにしか見えない!
エイリアン本体から無数の不気味な触手が蠢き、四方に長々と伸びている。
そのうちの一本が鋭く尖り、凶器となって浄火の腹を刺し貫いていた。
赤く濡れ光る血が、つぅっと垂れて砂地にボタボタ大量に落ちる。
それを見て、あたしは瞬時に理解した。
信子長老の袖から、足元の砂に滴り落ちていた真っ赤な血。
そうか! ウツボはただのおとりだったんだ!
信子長老の本命はコイツだ!
砂の奥底に隠れた異形に、素知らぬ顔で自分の血液を分け与えていたんだ!
・・・また、してやられた!
この人の用意周到に張り巡らしたクモの糸に、まんまと絡めとられた!
ニヤリと笑った紫色の唇。
そして浄火の体からは、すごい勢いで血が流れ出していく。
「ガ・・・グゥ・・・」
続けざまに血を吐いた浄火の体が痙攣し始めた。
極限まで開いた目から、みるみる光が失われていく。
あぁ! このままじゃ浄火が死ぬ!
「天内君! 絹糸! 少々辛抱してくれ!」
叫ぶなり門川君が、印を組んでいた両手をバッと離した。
素早く片方の手をこちらに、そしてもう片方の手を浄火に向ける。
それぞれの人さし指と中指が、違った形の簡易な印を組んだ。


