「門川、君・・・」
ゼエゼエ息が乱れる。まるで走ってるみたいに動悸が激しい。
とにかく全身が熱くて熱くて、ダラダラ滝のような汗が出てくる。
頭は割れるように痛いし、まともに呼吸もできなくて、正直泣き出したいくらいだ。
「これはおそらく、毒の類いだろう」
屈みこんであたしと絹糸の様子を見ながら、彼が言った。
毒? あのウツボ、毒をもっていたの?
ねちっこい根性のうえに、毒まで持ってるなんてホント最低。
でも毒の攻撃をされた覚えはないのに。
「砂の中に吐き出したんだろう。それを浴びたんだ」
彼の目は、あたしの体中にこびりついている湿った砂を見ていた。
よくよく見れば、砂に薄緑色のヌルッとした液体が混じっている。
これ、ウツボが吐き出した毒なの?
・・・うわヤだ。汚い。
あたしと絹糸がさっきから浴び続けていた砂の中に、毒が混じっていたのか。
「ガハッ・・・カハッ!」
「ううぅ・・・!」
絹糸とあたしが身を震わせながら同時に吐いた。
でも絹糸の容体の方が、かなり重症。体が大きい分、浴びた毒の量が多いんだ。
全身がすごい勢いでビクビク痙攣している。
絹糸がこんなに悶え苦しんでいるのを見るのは初めてだ。
き、絹糸、しっかりして・・・!
「グゥオォォーーーーー!」
どれほど苦しいのか、あの絹糸が我を見失って、ただの獣のように咆哮している。
黄金色の両目が、見る間に完全に緑色に染まった。
そして口から真っ白な泡がブクブク噴き出したかと思うと・・・。
「グウ! ク、ウゥゥーー・・・」
暴れまくっていた絹糸は、糸が切れたようにバタリと地に伏した。
そしてそのまま、全く動かなくなってしまった。


