神様修行はじめます! 其の四


ヘタをすれば死にかねない、命を代償としたギリギリの賭け。


そんな危険なことまでするなんて・・・。


あたしは彼女の決意の深さを、改めて思い知った。


ウツボが三度目の正直とばかりに、小さな目をギラつかせて襲い掛かってくる。


うわ、また来やがったか! しつこい!


かなりのスピードだけど、さすがに絹糸の方が一枚うわてだった。


冷静にウツボの動きを読み、余裕で攻撃から身をかわす。


あたしを咥えたまま軽やかにジャンプして、そのまま華麗に着地をキメると思った時・・・。


―― ビクン!


いきなり、絹糸の体が空中で硬直した。


(絹糸? どうし・・・)


直後に絹糸はあたしの体ごと、砂地にドサッと落下してしまう。


たいした高さからでは無かったけど、不意の衝撃は大きかった。


あたしは顔をしかめて痛みに耐える。


ぐうぅ~! あ、危うく絹糸の下敷きになっちゃうところだった・・・!


急いで砂まみれの体を起こし、隣に倒れている絹糸の様子を確認した。


美しい毛並みは濡れた砂に汚れ、全身を細かくプルプルと震わせている。


急にどうしたんだろう? こんなに震えて、寒いのかな?


―― ガハッ!


絹糸の口から大量の真っ赤な血が吹き出し、ビチャビチャと砂地に降った。


あたしは目を丸くして絶句する。


な・・・なにこれ! 血!? 血ぃ吐いたの!?


どうして!? 攻撃なんか全然食らっていなかったのに!