神様修行はじめます! 其の四


でもそんな気持ちとは裏腹に、どこかホッとしている自分がいる。


いま門川君と顔を合わせていたら、溝が深まりそうな気がして怖い。


一緒にいたら彼を責めてしまうかもしれない。


そんな自分の心を押さえる自信が、今のあたしには無い。



決意・・・したのに。


何があっても門川君のそばから離れず、彼を守り通すって決意してたのに・・・。


情けない。


そんなあたしの複雑な心境をよそに、仲間たちはテキパキと相談を進めている。



「じゃあ、どこへ天内さんをかくまうんですか?」


「新参者の端境一族や氷血の一族では、正直いって力不足でおじゃる」


「となれば、答えはひとつじゃのう」


「さようでございますね。・・・そこでジュエル様」


「なんですの?」


「今すぐ、ご病気になっていただきます」



意外な言葉に、お岩さんが目をパチパチさせた。


「病気? わたくしが?」


「はい。病名は・・・天ぷらソバにあたった、ということにしておきましょう」



お岩さんが、ますます不可解な表情で天ぷらソバの器を眺める。


絹糸が満足そうにうなづいた。



「さすれば正々堂々、今すぐ権田原へ避難できるのぅ」


「はい。門川が食べさせた物が原因で、体調を崩したわけでございますので・・・」


「門川から付き添い人を出すのが筋じゃろうな」


「ジュエル様とお親しい、天内のお嬢様が付き添う形が自然でございます」


「しかも、当主が病で臥せっているとなれば・・・」


「権田原の里に誰かが押しかけて来ても、面会謝絶で通すことが可能でございます」


「おおー! それって完璧ですね!」



凍雨くんがバンザイしながら明るい歓声を上げた。