神様修行はじめます! 其の四


三人そろって、凍雨くんの血相変えた表情を見つめる。


逃げろ? 逃げろって言った?


どうしたの? いきなりそんな物騒なことを・・・・・・。


そこであたしはハッとして立ち上がり、叫んだ。



「まさか、異形のモノが現れたの!?」



門川の敷地内が、異形のモノに襲われたとか!?


だったらあたし、逃げてなんかいられないよ! 門川君を守らなきゃ!



「ち、違います! 敵の襲撃じゃありません!」


凍雨くんが、薄茶の髪をブンブン振って否定した。



なんだ、違うのか。あぁビックリした。


だって凍雨くん、すごい表情してるんだもん。


エマージェンシー発令かと思っちゃったよ。



「小僧、どうした? なにをそんなに慌てておる?」


絹糸が金色の目で、凍雨くんを見上げた。


しま子も不思議そうに首をかしげて、凍雨くんを見ている。


頭の上に乗ってた小人さんが、おーっとっと、と慌ててしま子のツノにしがみ付いた。



「説明してる時間がありません! とにかく逃げて!」


でも凍雨くんはそれに答えず、せっぱ詰った様子で繰り返すばかり。


そしてあたしも、ますますキョトンとするばかり。


異形のモノの襲撃じゃないの?


だったらあたし、いったい何から逃げりゃいいわけ?