三人そろって、凍雨くんの血相変えた表情を見つめる。
逃げろ? 逃げろって言った?
どうしたの? いきなりそんな物騒なことを・・・・・・。
そこであたしはハッとして立ち上がり、叫んだ。
「まさか、異形のモノが現れたの!?」
門川の敷地内が、異形のモノに襲われたとか!?
だったらあたし、逃げてなんかいられないよ! 門川君を守らなきゃ!
「ち、違います! 敵の襲撃じゃありません!」
凍雨くんが、薄茶の髪をブンブン振って否定した。
なんだ、違うのか。あぁビックリした。
だって凍雨くん、すごい表情してるんだもん。
エマージェンシー発令かと思っちゃったよ。
「小僧、どうした? なにをそんなに慌てておる?」
絹糸が金色の目で、凍雨くんを見上げた。
しま子も不思議そうに首をかしげて、凍雨くんを見ている。
頭の上に乗ってた小人さんが、おーっとっと、と慌ててしま子のツノにしがみ付いた。
「説明してる時間がありません! とにかく逃げて!」
でも凍雨くんはそれに答えず、せっぱ詰った様子で繰り返すばかり。
そしてあたしも、ますますキョトンとするばかり。
異形のモノの襲撃じゃないの?
だったらあたし、いったい何から逃げりゃいいわけ?


