神様修行はじめます! 其の四


「静」と「動」の不意打ちの逆転に、びっくりして心臓が止まりそうになる。


目の前で巨大な青色の胴体が、灰色の空に向かってグンッと伸び上がった。


・・・ウツボ!? コイツ、あのウツボだ! 


またあたし達を追いかけてきたのか!


思いもよらない再会に、一瞬ひるんでしまった。


門川君と絹糸が、初めて見る異質な異形に目を見張っている。


「これが・・・!?」

「うぬぅ! なるほど!」


無言のままの信子長老の腕が伸び、スッとあたし達を指さした。


するとそれを合図のように、巨大ウツボが牙を剥いてこっちに飛びかかってくる。


(え!? 命令に従ってるの!?)


門川君と浄火は素早く砂地を蹴り、自力で攻撃を回避した。


ぼうっと突っ立ってるあたしの襟を、絹糸がガプッと咥えて一気に飛び退る。


―― ドスゥッ!


ウツボが巨大な頭を突っ込んだ場所から、大量の砂が噴水みたいに飛び散った。


顔面からもろにドサドサと砂を被ってしまう。


・・・うわー! 砂が口の中に入った! 気持ち悪い!


ま、まさかこのウツボ、信子長老に支配されているの!?


いやでも、いくらこの人の能力がすごくても、ウツボ相手に会話は成立しないでしょ!? 


さすがにそれは不可能だって!


―― スッ・・・


信子長老が、再びあたしに向かって指をさす。


するとまたウツボがこっちに向かって襲い掛かってきた。


巨大な口の中に、ギザギザに並んだノコギリみたいな牙が見える。


やっぱり支配されてる! なんで!?


信子長老って、ウツボと友だち!? バイリンガル!?