木の板や土壁が、端からベキベキと盛大な音をたてて崩れていく。
端境の血を引く島民たちが、ガレキに巻き込まれて倒れていく。
子作りマシーンの姿も、お岩さんの姿も見えなくなった。
ほんの一瞬。
瞬きする間の、あっという間の出来事。
誰ひとり身じろぎもせず、声ひとつたてない。
さすがの門川君も絹糸も目を丸くして、破壊された屋敷を唖然と眺めるばかり。
もうもうと埃が舞い上がるガレキの山を前にして、シンと静まり返る。
ようよう浄火が、悲惨な声でつぶやいた。
「お、おい・・・。権田原が、下敷きになっちまったぞ・・・?」
でも、あたしは確信していた。
お岩さんなら大丈夫。きっと、この人が・・・
―― パラパラパラ・・・
ガレキの山の一角が急に崩れ出した。
中から小さなドームのように、丸く縒り合されたツタが現れる。
そのツタが、シュルシュルとほぐれていって・・・
ポカーンとした表情で、ヘタリ込むお岩さんの元気な姿が現れた。
「いよっしゃあぁぁーーーーー!!」
あたしは思いっきり飛び上ってガッツポーズをキメた。
そう! セバスチャンさんなら絶対に、お岩さんを守ってくれるはずだと思ってたんだ!
ハインリッヒの派手な登場シーンで、村人の気が削がれて結界術が緩んだ。
あの時セバスチャンさんが、すかさず術を発動する気配がしたからね!
ほんっと抜け目のない男だよ! この魔王様は!


