神様修行はじめます! 其の四


木の板や土壁が、端からベキベキと盛大な音をたてて崩れていく。


端境の血を引く島民たちが、ガレキに巻き込まれて倒れていく。


子作りマシーンの姿も、お岩さんの姿も見えなくなった。


ほんの一瞬。


瞬きする間の、あっという間の出来事。


誰ひとり身じろぎもせず、声ひとつたてない。


さすがの門川君も絹糸も目を丸くして、破壊された屋敷を唖然と眺めるばかり。


もうもうと埃が舞い上がるガレキの山を前にして、シンと静まり返る。


ようよう浄火が、悲惨な声でつぶやいた。


「お、おい・・・。権田原が、下敷きになっちまったぞ・・・?」


でも、あたしは確信していた。


お岩さんなら大丈夫。きっと、この人が・・・


―― パラパラパラ・・・


ガレキの山の一角が急に崩れ出した。


中から小さなドームのように、丸く縒り合されたツタが現れる。


そのツタが、シュルシュルとほぐれていって・・・


ポカーンとした表情で、ヘタリ込むお岩さんの元気な姿が現れた。


「いよっしゃあぁぁーーーーー!!」


あたしは思いっきり飛び上ってガッツポーズをキメた。


そう! セバスチャンさんなら絶対に、お岩さんを守ってくれるはずだと思ってたんだ!


ハインリッヒの派手な登場シーンで、村人の気が削がれて結界術が緩んだ。


あの時セバスチャンさんが、すかさず術を発動する気配がしたからね!


ほんっと抜け目のない男だよ! この魔王様は!