「セ、セバスチャンさんヤメてー!」
「天内君、口を閉じろ! 舌を噛むぞ!」
「なんなんだこりゃあ!? うおヤベ、落ちる!?」
「だから君は、僕に密着するなと言っているだろう!」
ムダとは知りつつ、叫ばずにはいられない。
「なんであんたって人は毎度毎度、味方も攻撃せずにいられないのよ!?」
ひょっとしてあたし達のこと、実はちょっと嫌いなんじゃない!?
そうじゃないならお願い、少し抑え・・・ うぐ! ひ、ひた(舌)噛んらぁぁ!
―― パチンッ
魔王は味方の窮地には目もくれず、冷徹に指を鳴らす。
すると今まで天に向かって伸びたツタが、一斉に方向を変えた。
雪崩のような勢いと質量で、ドドッと屋敷に向かって襲い掛かる。
ああ、ついに最終兵器が牙を剥いた。
これに襲われたら、あんなちっぽけな木造屋敷なんてイチコロ。魔王の完全勝利だ。
・・・あ、でもセバスチャン分かってる!? お岩さんまで巻き添えにしないでよ!?
―― キ・・・ン!
硬質な音が空間を走り、なぜかツタが屋敷に激突する寸前で弾かれた。
え!? なんでどうして!?
目を見張るあたしの目前に、大きく立ちはだかる半透明な壁のような物質。
(あれはまさか、結界術!?)
巨大な結界の壁が突然現れ、ギリギリで屋敷は破壊をまぬがれた。
なんでここに結界の壁が!?
と思った瞬間、あたし達の周りを包むように膜が張り巡らされる。
「うぬ!? し、しまった!」
―― シュウゥゥ・・・
同時に絹糸の変化が解かれ、あたし達は地面に向かって落下した。


