「心配すんなって! オレが絶対なんとかしてやっから!」


ただひとり、元気な声を張り上げる男。


新しい長となった浄火は、明るい表情で村人たちを見渡した。


「オレがこの島を、みんなの命を守ってみせる! 約束だ!」


「浄火・・・・・・」


「黙ってオレについて来いって!」


自信に満ちた力強い言葉。堂々と胸を張って断言する態度。


・・・そんな事を言ったところで、安心できる根拠なんてどこにも無いのは、みんな承知の上だろう。


それでも浄火の言葉には不思議と、信じられる力があった。


これが浄火の持つ力なんだ。


異形に頼って手に入れたものじゃなく、彼自身が持つ、本当の力。


村人達は、そんな浄火に一縷の希望を抱いたようだ。


みんなが落ち着き始めたのを見て、浄火は宣言する。


「これから長としての初仕事だ。ちょいと島を救いに行ってくるぜ! だから・・・」


声のトーンが、落ちた。


「長と戌亥を・・・頼む」


村人たちは一同揃って浄火を見つめ、うなづいた。


「分かった。後の事は俺たちに任せてくれ」


「しっかり頼むぞ浄火!」


「おれたちの新しい長!」


浄火は大きな声ではっきり「おう!」と答えた。