神様修行はじめます! 其の四


「浄火君」


門川君が、悲嘆にくれる浄火に向かって話しかける。


「このような事態になり、悲しみも如何ばかりかと察する。ただ・・・」


「ジュエル様が、いまだ囚われの身にございます」


セバスチャンさんが言葉を続けた。


「長様が亡き今、おすがりできるのは、あなた様だけでございます」


「どうか僕達に力を貸して欲しい」


背中を大きく波打たせ、ひたすら泣き続けるばかりの浄火に門川君は深々と頭を下げた。


「なにとぞ、お願い申し上げる。常世島の新たな長殿よ・・・」


浄火のしゃくり上げる声が、ひくりと止まった。


『常世島の新たな長』


「・・・・・・・・・・・・」


グツグツとノドを鳴らし、浄火は懸命に涙をこらえている。


村人達が、息を詰めてそんな浄火を見守っていた。


目の前の惨劇により、指導者を同時にふたりも失ってしまって、みんなひどい不安に陥っている。


そうだ。長さんも戌亥もいない。


この島の民を率いていくのは、もう浄火しかいないんだ。


未曽有の危機に見舞われた島を、島民の全てを、たった今から守っていかなければならない。


泣いてはいられない。


それが、自分の生きる形なのだ。


浄火はスクッと立ち上がり、ゴシゴシと腕で顔を強く拭った。


振り返り、門川君に向かって力強くうなづく。


村人達に向かい、意志の強い彼本来の顔になってハッキリと言い切った。


「任せろ! オレが絶対この島を、そしてみんなを守ってやるからな!」