とっさに目の前で両腕をクロスさせてガードする。


寸でのところで、マロさんの結界が仲間達を覆ってくれた。


結界に当たった羽が、次々と弾き返されて地に落ちる。


残りの羽毛は、唸る音をたてて風を切りながら四方へ飛散した。


羽先に当たった村の建物や柱が、まるでスパッと伐採される様に次々と倒壊していく。


うげ!? どんだけ切れ味シャープな羽なの!?


・・・と思う間もなく、乱れ打ちのような稲光と轟音が空間を占領した。


目も眩む光と爆音の雷撃に、立て続けに集中砲火される。


ギュッと目を閉じ、両耳を押さえ、あたしは結界の中で身を縮こませた。


うわあぁぁ、総攻撃されてる!


マロさんの結界が無かったら、何十回死んでたか分かんない!


「う、ぐぅおぉぉ・・・!」


マロさんが顔を歪ませ、額から汗をダラダラ垂らしている。


無理も無い。島へ来てからずっと休む間もなく、結界術を発動しっぱなしだもの。


もういつ限界がきてもおかしくない。


マロさんの力が尽きてしまったら、あたし達どうなるの!?


自分達が助かるためには、反撃するしかない。


・・・斃すの? 因業ババの思惑に操られている、哀れな村人達を?


女達を?  幼い子ども達を、この手で斃すの?


・・・・・・そんなことできないよ!


それにそんな事してしまったら、門川君の当主としての権威は地に落ちてしまう!


なにより彼は、自分で自分を許せない!


あぁ、いったいどこまで・・・


どこまでクモの糸の罠が張り巡らされているんだ!?