突進したしま子は、足元の固い地面を丸太のような腕で殴りつけた。
砕けた岩盤が、礫となって飛散する。
術を発動していた人達が、雨あられのような石礫を全身に受けて倒れた。
同時に、あたしの体がフッと浮き上がるように軽くなる。
(やった! 術が解けた!)
その一瞬をセバスチャンさんは見逃さなかった。
素早く両手で印を組み、地中から大量のツタを呼び出す。
生き物のように蠢くツタの先端が、すごいスピードで村人たちに向かって飛び掛かった。
よっしゃ行けぇセバスチャンさん!
・・・あ、でも手加減よろしくお願いします!
―― シュウゥゥ・・・
ところが村人達に届く寸前、ツタの勢いがピタリと止まった。
そしてみるみる、全部のツタが萎れて枯れていってしまう。
なんで!? どうしたの!?
―― パーーーン!
激しい音と、目も眩むような強烈な光が宙を走った。
突然しま子の体から白い煙が上がり、ドサッと倒れる。
「しま子!? しま子ーーー!」
連続して走る、強烈な光と耳をつんざく轟音。
その度に、倒れたしま子の体がビクビクと、陸に上がった魚のように大きく跳ねた。
「あたし達の力を思い知ったか!」
女性たちの自慢げな声。
・・・これも神の一族の術!? 雷撃を司る一族の血を引いている人達なんだ!
「ぐうぅ、なんと・・・!」
絹糸が呻き声を上げた。
同じ雷撃の能力。きっとその一族とは、何度も連携しながら共に戦禍を潜り抜けてきたはずだ。
縁の深い一族の血を引く、しかも女性たちを目の当たりにして、絹糸は戸惑い怯んでいる。


