(因業ババ、あんたはバカだよ! 長さんは子独楽ちゃんを、あんたを助けたかっただけなのに!)
心の中でそう呼びかけながらも、あたしは悟っていた。
そんな事は彼女だって、充分に分かっているんだ。
分かっていても、それでも、それでもどうしても・・・。
―― ズウ・・・ン・・・!
(・・・え?)
突然、自分の体が重くなった。
見えない鉄の鎧でも装着したみたいに、体全体がズシッと重くてたまらない。
指先やつま先にまで重石を乗せられてるみたいだ。
(な、なにこれ? 急にどうなってんの?)
仲間達もみんな、顔を歪ませて立ち尽くしている。
体の重みのせいで、誰もその場から一歩も動けない。
「どうだ? オレ達の術は」
村人たちが揃って両手で印を組んでいる。
「この力が役に立たないかどうか、その身に確かめさせてやる」
これって神の一族の能力なの!?
お、重い! どんどん体が重くなって、自分の体を支えきれない!
耐えきれずに、その場にベタンと座り込んでしまった。
頭が重くて顔を上げていられない。ガクッと首と肩が垂れてしまう。
うおぉぉぉ、頭が、頭が信じられないぐらい重いぃ!
軽量でコンパクトなのだけが自慢の頭だったのに、こんなに重くなるなんて!
―― ズウン・・・!
さらに体にかかる重みが増した。
あたしは歯を食いしばり、息を詰めて耐えようとしたけど、とても抵抗しきれない。
体が二つ折りになって、そのまま地面に倒れてしまった。


