神様修行はじめます! 其の四


見た瞬間は鳥かと思うほど、全身が羽毛のようなもので覆われている。


でも違う。これが鳥であるはずがない。


だってこの頭。そして全長十メートルはゆうに超える、長いあの体躯。


これは・・・・・・ヘビだ!!


「見ろ! これがオレの真の力だあぁぁ!」


細い両目を極限まで見開き、戌亥が誇らしげに高笑いをした。


その声を聞きながらあたしは茫然としてしまう。


龍が立つかのようにそびえる、羽毛の生えた巨大なヘビ?


「ケツァルコアトル・・・!?」


セバスチャンさんがヘビを見上げながら叫んだ。


驚愕とも、苦悩とも言える複雑な声と表情。


彼が叫んだその名前に、あたしの記憶が蘇る。


その名は確か・・・古代メキシコの神話に登場するヘビだ!


敵対していた神に呪いをかけられ、そのせいで自分の妹と深い関係を持ってしまい・・・


楽園を追われてしまった。


そう。自分の、妹と。


セバスチャンさんは、ギリギリと強く唇を噛みしめる。


過ちを犯した古代の神の姿を、青い顔でじっと睨んでいた。


この符合は偶然の一致?


・・・いや、違う。そうであるはずがない。


これはきっと、因業ババが張り巡らした通りの筋書きなんだ。


お岩さんとセバスチャンさんに、『お前達は古代の伝説のようだ』と告げているの?