神様修行はじめます! 其の四


勝利に酔った、いびつに歪んだ笑い声。


ただ力に目覚めただけでは、異形のモノと戦えるばすもないのに。


彼らはうっぷんが晴れる事ばかりに目がいって、先の事がまるで見えていない。


あたし達も島民達も、見えている現実は同じはずなのに。


『人は同じものを見ていながら、まるで違うものを見ようとする』


ああ・・・・・・。


まさにその通りだ。


人は誰しも自分が望むとおりの理屈を探し出し、強引に自分の望みを現実に当てはめる。


・・・誰にも彼らを責められない。


それに責めたところで、彼らの中の自分の『正しさ』は決して揺るがない。


歯噛みするあたしの横で、それでも浄火は諦めずに説得を試みる。


「いい加減にしろよお前ら! そんな簡単にいくわけないだろが!」


「試してみるか?」


戌亥の細い目が、キラリと光った。


体全体を覆う異様な気の力が、急激に増幅していく。


それに呼応するように地面の下の方から、何かが蠢き、浮上してくる感覚がした。


足元から伝わるゾワゾワとした感覚に、あたしは思わず後ずさる。


戌亥が、何かを呼び出している?


・・・・・・来る。


来る!

力が、すごい勢いでどんどん近づいて来る!


何かが今、地中を通って・・・・・・!


(・・・来た!!?)


足元に横一直線のヒビが走り、派手な音をたてて地面が割れた。


割れた穴から長身をうねらせて飛び出した姿に、あたしは目を見張る。


それは、息を飲むほど異様な姿だった。