神様修行はじめます! 其の四


村人たちは厳しい眼つきで、こっちを睨んだまま微動だにしなかった。


そして声を揃えて叫び出す。


「オレ達から、あの水を奪い取ろうとしたってそうはいかないぞ!」


「そうだ! やっとのことで、神の一族の力を手に入れる事ができたんだ!」


「この島が救われる日が来た! この村以外の島民にも水を飲ませるんだ!」


「ち、ちょっと待てよみんな! 話を聞けって!」


浄火が両腕を大きく振った。


「まさかお前ら全員、あの水を飲んじまったのか!?」


「ああ、もちろん全員、信子さまと戌亥さまに飲ませていただいたとも」


浄火の顔色が目に見えて変わった。


やっぱり、この異様な気配はそのせいだったんだ。


水によって強引に目覚めさせられた力。


制御しきれない能力なのに、誰も抑えようともしていない。


たぶん抑え方も分かっていないんだろう。


・・・まずい。コントロール不能なエネルギーなんて、必ず暴走する。


「だめだ! その水をこれ以上この島へ広げちゃだめなんだ!」


「浄火の言う通りだ。その水は本来、人が扱うべき物ではないのだ」


長さんが静かに、でも厳しい声で村人達に向かって宣言した。


「その水を飲むことも、飲んだ者がこの島から出る事も、長として禁ずる」


「残念だがな、あんたはもう長じゃないんだよ。おばあ様」


戌亥がニンマリと笑った。


「裏切り者のあんたに、長の資格は無い。もうこの島の長はオレなんだ」