神様修行はじめます! 其の四


あっさりとセバスチャンさんは、村人たちをそのまま地面に下ろしてくれた。


あたしはホッと胸を撫で下ろす。


よ、良かった。あと一瞬遅かったら・・・


セバスチャンさんが、ガチで村人たちを殺戮するシーンを見るハメになってた。


この人、お岩さんを助け出す為なら、自分の手を汚すなんて全然平気だ。


門川君がいてくれて本当に良かった。


「それでは皆、先を急ぐぞ」


門川君の声を合図に、あたし達はまた絹糸としま子に抱えられながら進み始める。


伸びてる門番たちを尻目に、村の中へ突入したあたし達はすぐに異変に気が付いた。


人の気配が無い。


大人も、子どもも、誰ひとり姿が見えない。


代わりに異様な気配が村全体を覆っていた。


なんだろう? こんな不気味な気配は初めて感じる。


まるで濃縮された複数のエネルギーが、不規則に混じり合っているような・・・。


「・・・・・・!?」


絹糸としま子の足が、同時に止まった。


村の出口の前に、村人たちがズラリと勢ぞろいしてこっちを見ている。


男達はもちろん、女も子どもも全員総出で、人間の壁を作るみたいに。


村を覆う異様な気配は、この村人たちから濃密に発散されていた。


そしてその先頭に・・・


「戌亥!」


「よう浄火、生きていたのか。お前は本当に悪運の強いヤツだな」


戌亥がせせら笑いながら仁王立ちしていた。


こいつ、やっぱりこの村へ来ていたんだ!


「戌亥、これは何のつもりだ!? 退け! みんなを下がらせろ!」


「みんな、浄火がどけろと言ってるぞ? どうする?」