黒い煙の幕の陰に、白い輝きが強烈に放たれる。
同時に、頬の肉が引っ張りあげられるほどの突風が足元から起こった。
―― ゴオォォォッ!
鼓膜を震わす風成りの共に、煙も土砂も、全部上空に巻き上げられていった。
お蔭で視界が晴れて、周囲の状況が確認できる。
あちこちに仲間たちが散らばって倒れていた。
門川君が片ヒザ立ちで印を組みながら、じっと前方を見据えている。
その視線の先には・・・
同じように印を組み、こっちを睨んでいる村人の姿が!
あの人、神の一族の能力を発動している!
なんてこと! 水を飲んでしまったんだ!
「オレ達の邪魔はさせない! よそ者め!」
叫ぶ村人の気が一気に高まる。
その足元から、ドドドッッと一直線に地面がさく裂した。
土片を撒き散らし、地割れのような爆発が、門川君へ向かって真っ直ぐ襲い掛かる。
「門川君ーーー!」
―― キ・・・ン!
血相変えて叫ぶあたしの目の前で、門川君の全身が半透明の膜に覆われた。
土砂や爆発の勢いが、すべて彼の手前で完全に跳ね返される。
マロさんが地面に引っくり返りながら、懸命に結界術を発動していた。
「マロさん! ありがと・・・」
あたしの言葉は爆発音によって掻き消された。
四方八方から上がる爆発音。
爆風に押され、仰け反る目の前に現れた結界の壁。
守りの壁が爆発の威力から、身を守ってくれた。


