神様修行はじめます! 其の四


今までの敵意ばかりが強かった視線とは、どこか違う浄火の目。


なんだか改まった姿勢で、セバスチャンさんや門川君を見比べている。


神の一族の能力を続けざまに目の当たりにして、さすがに感じるものがあったのかもしれない。


「急ぐぞ、みんな」


門川君の声に、全員が走り出す。


すぐに出口の明かりが見えてきて、あたし達は洞窟の外へと一斉に飛び出した。


「ここからどっちへ行くの!?」


「近くに村があるんだ。そこを通るのが一番近い。行こう」


「案内せい。皆、我の背に乗れ」


絹糸がみんなを背中に乗せ、走り出す。


でも全員乗るのはさすがに無理で、あたしと門川君はしま子が抱えて走ってくれた。


絹糸の背に揺られながら、浄火が絹糸に質問する。


「ところであんた、いったい何者なんだ?」


「なんじゃ、分からぬのか? 我じゃよ」


「だから、誰だよ?」


「浄火、それ絹糸なんだよ」


「はあぁ!? お前あの、じ様くせぇ猫が化けた姿なのか!?」


「じ様くさいとは何じゃ! これが我本来の姿じゃわい!」


浄火は感心したような呆れたような顔で、絹糸や門川君たちを交互に眺めていた。


絹糸としま子は、足場の悪い道を物ともせず悠々と駆け抜ける。


お蔭であっという間に前方に村が見えてきた。


「あの村を通り抜けてくれ!」


「承知! しま子よ、我から遅れるでないぞ!」


「うがあぁ!」