神様修行はじめます! 其の四


小口切りになったヘビの体が、バラバラにビクンビクン蠢いている。


動きに意思は感じられないけど、ピッチピチに元気じゃん。


「こんな状態になったのに、まだ生きてる・・・」


「この生命力の強さこそが、高い霊質の源なんだ。信仰の由来だよ」


ヤマタノオロチの残骸の間を、おっかなびっくり進んだ。


地面はそこら中、ヘビが撒き散らした色んな物質で一面ゲチョゲチョ。


「みんな、足元に気を付けてね」


「ちょっと気合い入れ過ぎだろこれ。頭にくるのは分かるけど」


浄火が長さんの手を引きながら、嫌そうな顔でゲチョゲチョを見た。


ここ片付けるのって、やっぱり島の人たちなのかな?


確かにいい迷惑かも・・・。


その時とつぜん、すぐそばのヘビの頭がガパッと大口を開いた。


目を爛々と光らせ、シャアァ! っと息を吐きながら浄火に飛び掛かる。


不意を突かれた浄火と長さんは硬直して立ちすくんだ。


危ない・・・・・・!


―― ドコォッ!


「・・・・・・!?」


一本の鋭く細い槍のような氷柱が、ヘビのノドの奥を刺し貫いた。


そしてそのまま、洞窟の壁にヘビの頭ごと突き刺さる。


ヘビの頭部はヒクヒク痙攣して、やがて目から光がスゥッと消え失せ、動かなくなった。


「実に、しつこい。さすがはヘビだな」


「なんだか含みのある言い方だねぇ、あんた」


「他意はない。素直な感想だ」


主さんと言い合っている門川君の姿を、浄火が何も言わずに見つめていた。