小口切りになったヘビの体が、バラバラにビクンビクン蠢いている。
動きに意思は感じられないけど、ピッチピチに元気じゃん。
「こんな状態になったのに、まだ生きてる・・・」
「この生命力の強さこそが、高い霊質の源なんだ。信仰の由来だよ」
ヤマタノオロチの残骸の間を、おっかなびっくり進んだ。
地面はそこら中、ヘビが撒き散らした色んな物質で一面ゲチョゲチョ。
「みんな、足元に気を付けてね」
「ちょっと気合い入れ過ぎだろこれ。頭にくるのは分かるけど」
浄火が長さんの手を引きながら、嫌そうな顔でゲチョゲチョを見た。
ここ片付けるのって、やっぱり島の人たちなのかな?
確かにいい迷惑かも・・・。
その時とつぜん、すぐそばのヘビの頭がガパッと大口を開いた。
目を爛々と光らせ、シャアァ! っと息を吐きながら浄火に飛び掛かる。
不意を突かれた浄火と長さんは硬直して立ちすくんだ。
危ない・・・・・・!
―― ドコォッ!
「・・・・・・!?」
一本の鋭く細い槍のような氷柱が、ヘビのノドの奥を刺し貫いた。
そしてそのまま、洞窟の壁にヘビの頭ごと突き刺さる。
ヘビの頭部はヒクヒク痙攣して、やがて目から光がスゥッと消え失せ、動かなくなった。
「実に、しつこい。さすがはヘビだな」
「なんだか含みのある言い方だねぇ、あんた」
「他意はない。素直な感想だ」
主さんと言い合っている門川君の姿を、浄火が何も言わずに見つめていた。


