「永久様、状況は?」
「飲み込まれる前に、毒にやられたな。だが大丈夫だ、すぐ回復する」
門川君の言葉が終わらないうちに、絹糸としま子がモゾモゾ動き出した。
「うぅ・・・」
「絹糸、意識が戻ったか?」
「・・・永久か。無事じゃったのか?」
「それはこちらのセリフだ。絹糸、ぬかったな」
「岩が連れ去られて、気を取られてしまった。いやはや、貴重な体験をさせてもらったわい」
絹糸はプルプルと体を振り、伸びをする。
そしてセバスチャンさんに目を向けた。
「遥峰、すまぬ。岩が・・・」
「承知しております。どうぞ、お気に病まれませぬように」
セバスチャンさんは目礼し、静かに答える。
「ジュエル様は、必ずやわたくしめが無傷で救い出しますので」
「浄火君、長殿、蛟一族の長老が向かった場所に心当たりはないだろうか?」
治癒の術を終えた門川君が、浄火と長さんに尋ねた。
聞かれたふたりは、すぐに顔を見合わせてうなづき合う。
「蛟一族専用の、屋敷がある」
「行くとすれば、きっとその屋敷だ。案内する」
よし、そこに行こう! お岩さんを助けなきゃ!
あたし達は出口に向かい、急いで移動を始めた。


