絡み合わないのが不思議なほど、メチャクチャに暴れているヘビの頭。
よく見れば、長い首の部分が異様にボコッと膨れているヤツが、二本ある。
・・・まさかあの膨れた部分、絹糸としま子なの!?
「そんなあぁぁーーー!」
あたしは真っ青になって、頭のてっぺんから悲鳴を上げた。
「ふたりとも消化されちゃうよ! もう溶かされてたらどうしよう!」
「大丈夫でしょう。そこまで早く消化はしないはずです」
「そんなの分かんないよ! だって相手はヤマタノオロチだもん!」
騙されてお酒飲んで、酔っ払って倒されちゃったおバカな伝説は知ってる!
でも頭はバカでも、胃酸だけは誰にも負けない強さの持ち主かもしれないじゃん!
「お願いセバスチャンさん! 早く助けて!」
「承知いたしました」
半泣きのあたしにセバスチャンさんは、片手を胸に当て、うやうやしく一礼した。
そして右手を高く掲げて、パチンと指を鳴らすと・・・
―― ドゴオォォ・・・!
鼓膜が破れそうなほどの大きな破壊音。
何本も極太のツタが、地面を突き破って一斉に飛び出してきた。
あたしは両耳を押さえて、腰を抜かして座り込んでしまう。
砕かれた岩盤が飛び散って、こっちに向かって吹き飛んできた。
(うっわー!?)
青ざめるあたしの目前で、猛スピードの岩が次々とマロさんの結界に激突する。
そしてバチバチすごい火花を散らしながら四散した。


