神様修行はじめます! 其の四


絡み合わないのが不思議なほど、メチャクチャに暴れているヘビの頭。


よく見れば、長い首の部分が異様にボコッと膨れているヤツが、二本ある。


・・・まさかあの膨れた部分、絹糸としま子なの!?


「そんなあぁぁーーー!」


あたしは真っ青になって、頭のてっぺんから悲鳴を上げた。


「ふたりとも消化されちゃうよ! もう溶かされてたらどうしよう!」


「大丈夫でしょう。そこまで早く消化はしないはずです」


「そんなの分かんないよ! だって相手はヤマタノオロチだもん!」


騙されてお酒飲んで、酔っ払って倒されちゃったおバカな伝説は知ってる!


でも頭はバカでも、胃酸だけは誰にも負けない強さの持ち主かもしれないじゃん!


「お願いセバスチャンさん! 早く助けて!」


「承知いたしました」


半泣きのあたしにセバスチャンさんは、片手を胸に当て、うやうやしく一礼した。


そして右手を高く掲げて、パチンと指を鳴らすと・・・


―― ドゴオォォ・・・!


鼓膜が破れそうなほどの大きな破壊音。


何本も極太のツタが、地面を突き破って一斉に飛び出してきた。


あたしは両耳を押さえて、腰を抜かして座り込んでしまう。


砕かれた岩盤が飛び散って、こっちに向かって吹き飛んできた。


(うっわー!?)


青ざめるあたしの目前で、猛スピードの岩が次々とマロさんの結界に激突する。


そしてバチバチすごい火花を散らしながら四散した。