神様修行はじめます! 其の四

「ジュエル様に振られて、余計に頭に血がのぼってしまったようですね」


「いっそそのまま、脳溢血でプツンといきゃあ良かったのに! どこまでも中途半端なじじいね!」


「全てにおいてのバランスが、著しく悪いタイプなのでしょう」


彼のそんな落ち着いたセリフに、あたしの頭はますます逆上した。


「どっしり構えてる場合じゃないですよ! セバスチャンさん!」


あのジジィ、真性のマゾなんだよ!? 正しく変質者なんだよ!?


そんなヤツがお岩さんを・・・!


その後の顛末を想像するのも恐ろしくて、あたしは目まいがした。


すぐ・・・すぐに助け出さないと手遅れになる!


「典雅殿、絹糸としま子はどこだ?」


門川君の声に、あたしはハッと気付いた。


そうだ。そういえば絹糸としま子の姿がどこにも見えない。


ひょっとして、さらわれたお岩さんの後を追っているんじゃ!?


きっとそうだよ! きっとあのふたりが助けてくれる!


希望が芽生えたあたしの耳に、主さんの金切り声が聞こえてきた。


「ちょいとあんたら! 遅いだろ! 今まで何してたんだい!?」


マロさん達の足元で、白ヘビが目を真っ赤にしてキィキィ怒鳴っていた。


「あ、主さん! いたの!?」


「いるよそりゃ! 腹立つ娘だね、まったく!」


「だって・・・主さんがいるのに、なんで暴れてるの!? このヤマタノオロチは!」


主さんは強力な退魔の力の持ち主なんでしょ!?


さっさと駆除してよ、こんな迷惑なまでに育った爬虫類なんて!