門川君が物も言わずに、音の聞こえる方へと走り出した。


ほぼ同時にセバスチャンさんも走り出す。


一瞬の間を置いて、浄火もふたりの後を追った。


そして最後に残されたあたしは、状況についていけずにポカンとその場に突っ立っていた。


・・・え? なに? なんで皆、急に走ってんの?


と、思っている間にも、どんどんあたしは置いてけぼり。


遠ざかる三人の背中が闇に紛れるのを見て、ようやく我に返った。


ち、ちょっと! 待ってよみんな!


薄暗い足元に注意しながら、危なっかしくバタバタと追いかける。


暗いせいもあるけど、なんだか体がフラついてうまく走れない。


地面が振動しているせいだ。


しかも走るにつれて、ズシンズシンと響く音と揺れが大きくなってきた。


何かに近づいている?


なんだろう? すっごく嫌な予感がするんだけど・・・。


―― ズシィ・・・ン!


「うわわ!?」


ひときわ大きな揺れに、あたしは転びそうになって立ち止まった。


バラバラと無数の小石が天井から落ちて、肩や頭に当たる。


態勢を整え、再び走り出そうと顔を上げた途端に・・・


あたしは、大口を開けて一歩も動けなくなってしまった。


そばで門川君たちも同じように立ち止まって、あたしと同じ物を見上げていた。


その表情には強い緊張と危機感が漲っている。


(・・・・・・なに? あれ?)