あたしは必死に身の危険を訴えた。


「セバスチャンさん! 本気で落下しそうです!」


「もうすぐ到着ですので、できればそのままの態勢で少々お待ち下さい」


「いやムリっす! 今! 今すぐ! 今より早く助けて!」


もはや指先だけでツタに引っ掛かってる、根性ゲームな状態のあたしを浄火が上から心配する。


「おい!? 里緒大丈夫か!?」


「全然大丈夫じゃないー! すでにレッドゾーン突入ー!」


「おいお前ら! 何とかしろって!」


「天内君、情けないぞ。頑張りたまえ」


「お嬢様、おしっかりなさいませ」


「って、励ましてどーすんだよ!? それ、なんの助けにも慰めにもなってねーだろ!」


「もー限界! ギブ! ぎぶうぅぅーー!」


と、絶叫しているうちにドサッと背中が地面に着く感触が。


つ、着いた!? ・・・助かったぁぁーー! 


あたしはグダァッと全身を弛緩させて、大の字になって寝ころんでしまった。


うぇぇん、地面だ地面だ! 生きた心地がしなかったよぉ! 


もうあたし絶対、二度とセバスチャンさんには逆らわないって決めた!


・・・それに結局、門川君の態度も、いつもと全然変わらないじゃん。


『信じられない。夢を見てるみたい』 ってホクホク浮かれてたけど・・・


ホントにあれ、夢だったりして。


あたし達って、どこまでも甘々ムードとは無縁なふたりなのね。くすん。