神様修行はじめます! 其の四


やべえよこれ。マジで怒ってるよ、この人。


不自然極まりないほどニコニコしてるセバスチャンさん。


その極上の微笑みに、あたしは背中にゾーッと寒気が走った。


この人だけは、何があっても敵に回さないようにって肝に銘じていたのに。


一番怒らせちゃダメな人、怒らせちゃったよぉぉぉ!


と、とにかく、彼の怒りの矛先を逸らさなきゃ!


「あの、あのセバスチャンさん! い、いつ島へ来たんですか!?」


「たった今でございます」


「ど、どーやって!?」


「地面を掘りました」


「・・・・・・はい?」


「ご存知の通り、この島は空も海も通行不能でございますから」


権田原に宝船は無し。召喚可能な龍も無し。


で、どうしたか? というと・・・


「ならば地下から攻めるほか無しと判断しまして。自力で海底にトンネルを掘って参りました」


じ、自前で海底トンネル作成しちゃったのぉ!?


さすがは土の民、権田原最凶の男!  


「どうやって掘ったの!? しかもこんな短時間で!」


「もちろん、ツタで」


どんだけ強烈なツタよそれ! 超大型の掘削機器か!


セバスチャンさんのツタって、岩盤貫通するほどの威力があるわけ!?


もはやこの人って最終兵器だよ!


「天内のお嬢様にお聞きしたい事は、山ほどございますが・・・」


柔らかく細められた目の奥に、日本刀顔負けの威圧感。


それを上回るほど底冷えする声で、セバスチャンさんが言った。


「さて・・・ジュエル様は、どちらにおいででしょうか?」