ビックリしたあたしは引っくり返って、尻もちをついてしまう。
な、なにこれー!? なんで地面から急にロープが出てくんのー!?
―― スルスルスル
目の前のロープが、地面に開いた穴から天井に向かって伸びていく。
落ち着いて良く見れば、それはロープじゃなくて植物のツタだった。
常識外れに太いツタに掴まりながら、穴の底からせり上がってきた人物にあたしは再びビックリした。
セ・・・セ・・・
「セ、セバスチャンさんーー!?」
黒い燕尾服に身を包んだ美貌の青年が、無表情にストンと地面に降り立つ。
あたしはもう、目を丸くしてその姿を見上げるばかり。
「セバスチャン。君だったのか。意外と早く着いたな」
「お待たせいたしました。永久様」
仰天してるあたしをよそに、門川君とセバスチャンさんは普通に会話してる。
「な、なに? 門川君、セバスチャンさんが来ること知ってたの?」
「当然だろう。彼が岩さんを放置しておくはずがない」
「本当はもっと早急に、こちらに合流したかったのですが」
ニッコリ。
無表情だった彼が、凄みを感じるほど綺麗な顔で笑った。
「とあるお方々が、長老の宝船を失敬して、そのままトンズラしてしまいましたもので」
「あ・・・・・・」
「その後始末に、それはもう、非常に手こずってしまったものですから」
「・・・・・・・」
「お待たせして大変申し訳ございませんでした」
・・・・・・・・・・・・。
やべえ。


