神様修行はじめます! 其の四


門川君がペタリとその場に座り込む。


彼はあたしの姿を通して、自分の心を見つめている。


そして冷え切ったあたしの頬に手を伸ばし、そっと触れてくれた。


あたしは彼の手の上に自分の手を重ねた。


「天内君、僕を許してくれ。僕は・・・」


請うようにささやく、彼の声。


「僕は、君が、好きなんだよ」


ああ・・・・・・。


あたしは目を閉じ、天を仰ぐ。


心の底に痛みが満ちた。


じっとしていられないほどの疼きに耐えられず、勝手に体が動き出す。


気がつけばあたしは門川君を、凍える両腕で抱きしめていた。


「門川君! 門川君!」


彼の全てを抱き止め、あたしは泣きながら精一杯叫ぶ。


「あたしも門川君が好きなんだよ!」


想い合う心。


恍惚と呼ぶには、あまりに切なく。


恐れと呼ぶには、あまりに愛しい。


とても言葉にできない想いが胸の奥に流れ落ちていくのを、あたしは感じていた。


洞窟内の透明な氷が、解けるように音も無く消滅していく。


完全に消え去っていく。幻影のように跡形も無く。


身を切る寒さもいつしか緩み、あたしの失われた感覚が戻ってくる。


指先は、ドクドクと脈打つように痺れて痛んだ。