神様修行はじめます! 其の四


・・・・・・偽りだ。詭弁だ。


僕は単に、彼女を独り占めしたいだけ。


その自分の感情を、最優先したかっただけなんだ。


だから彼が・・・・・・憎い。


ただひとりの、天内の血の一対である彼が。


僕には、自分の我がまま以外、彼女を縛り付けるものは無いのに。


彼は彼女の隣に居るための、正当な理由も意義も持っている。


僕がどれほど望もうと手に入れられない、絶対的な立場を。


・・・・・・妬ましかった。


心が真っ黒に焼け焦げてしまいそうになるほど、本気で彼を妬んで、憎んだ。


僕は門川の当主なのに。


当主として、不遇な境遇の彼を守り、救わねばならないのに。


自分自身が可愛いばかりに、救わなければならないふたりを、僕は見捨てようとしたんだ。


あれほど・・・自分は当主として、誰よりも相応しくあろうと決意したのに。


天内君を一生守り続けると誓ったのに。


僕は当主失格だ。天内君と共にいる資格も無い。


なのに・・・


どうしても、彼への妬みを消し去れない。


どうしても天内君と彼が結ばれる事を、承服できない。


いや、他の誰であろうと渡したくない。


髪の毛一本ですら、彼女が僕以外の誰かのものになるのが我慢できない。


彼らを救うよりも。

彼女の幸せよりも。

何よりもそれが、僕の本音だ。


あぁ・・・僕は、絶望する。


「僕という人間は、こんなにも醜い心の持ち主だったのか・・・」