「うわ!?」
悲鳴が聞こえて振り向くと、浄火が地面に倒れている。
片袖に細い氷柱が突き刺さり、氷の床に縫いつけられてしまっていた。
まともに身動きのとれない浄火めがけて、頭上から巨大な氷柱が襲い掛かる。
あたしは金切り声で叫んだ。
「危ない! 浄火よけてーー!」
とっさに体を横向きにして間一髪、彼は一撃を避けた。
地面に激突した氷柱は盛大な音をたてて砕け散る。
浄火の体が、バラバラと降る大量の氷片に埋もれて生き埋め状態になってしまった。
「浄火大丈夫!? いま助けに行・・・」
―― ビシュッ!
あたしの鼻先スレスレを、氷柱の槍が二連発でぶっ飛んで行った。
悲鳴を上げてその場にベタッと腹ばいになる。
頭上の空間はもう、ロケット氷柱大奮発祭り状態。
四方八方、乱れ打ち大フィーバーだ。
こ、これじゃたまらない! あたしも浄火もマジで死ぬって!
「門川君!」
氷でキンと冷やされた腹に力を込めて、あたしは声を振り絞った。
「どこなの門川君!? お願い返事して!」
返事を待てども、声は無し。
聞こえてくるのは、宙を飛び交う氷柱が風を切る音ばかりだ。
視線だけ上を向いて、あたしは門川君の姿を探した。
・・・・・・いた!
まるでクリスタルの巨大鉱石のような、透き通る極太の氷柱。
見上げるほどバカでかい数本の氷柱にグルリと捕らわれる様に、彼は立ち尽くしていた。


