「拒否したら、それは里緒が他人を差別してるって事になる。それでもいいのか?」
「そんなのムチャクチャだよ! そういう事じゃない!」
「知ってる。分かって言ってる」
「分かっているなら・・・!」
「分かっているけど、自分でもどうにもできないんだよ!」
浄火は急に声を荒げた。
ギュッと強く目を閉じて、激しく頭を振って。
必死になって、心の中の何かを押さえつけようとしてるみたいだった。
「里緒が、あいつの事を好きなんだって気付いた時から、オレ・・・!」
「浄火・・・」
「好きなんだろ? あいつの事が」
余裕のない、やり切れない目をして問い詰められた。
痛みを感じるほどの真摯な視線をぶつけられて、戸惑う。
とても正視できずに、あたしは視線をそらした。
「答えてくれ。聞きたくないのに、知りたくてたまらないんだ!」
苦しげな声を聞きながら、あたしは両手で自分の胸をギュッと押さえた。
痛い。イバラの蔓でギリギリに縛られているみたいだ。
自分の思う相手以外の人から、想いを寄せられている。
それがこんなに苦しい事だなんて知らなかった。
痛いくらい真剣な気持ちが伝わってくるのに、受け入れられない。
自分を好きでいてくれる相手を、誰より自分が傷つけてしまうなんて・・・。


