神様修行はじめます! 其の四


「拒否したら、それは里緒が他人を差別してるって事になる。それでもいいのか?」


「そんなのムチャクチャだよ! そういう事じゃない!」


「知ってる。分かって言ってる」


「分かっているなら・・・!」


「分かっているけど、自分でもどうにもできないんだよ!」


浄火は急に声を荒げた。


ギュッと強く目を閉じて、激しく頭を振って。


必死になって、心の中の何かを押さえつけようとしてるみたいだった。


「里緒が、あいつの事を好きなんだって気付いた時から、オレ・・・!」


「浄火・・・」


「好きなんだろ? あいつの事が」


余裕のない、やり切れない目をして問い詰められた。


痛みを感じるほどの真摯な視線をぶつけられて、戸惑う。


とても正視できずに、あたしは視線をそらした。


「答えてくれ。聞きたくないのに、知りたくてたまらないんだ!」


苦しげな声を聞きながら、あたしは両手で自分の胸をギュッと押さえた。


痛い。イバラの蔓でギリギリに縛られているみたいだ。


自分の思う相手以外の人から、想いを寄せられている。


それがこんなに苦しい事だなんて知らなかった。


痛いくらい真剣な気持ちが伝わってくるのに、受け入れられない。


自分を好きでいてくれる相手を、誰より自分が傷つけてしまうなんて・・・。