「能力を失いたくないんだろ? そうなんだろ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「オレたち常世島の人間みたいになるのは、嫌だって事だろ?」
言葉のナイフが胸に深く突き刺さる。
あたしは一言も反論できずに、あたしを見下ろす浄火を見上げていた。
抗うすべのない罪悪感に苛まれながら。
・・・・・・・・・・・・。
浄火の言う通りだ。それがあたしの本音。
あたし、能力を失いたくない。
そうなるのが、どうしようもないほどすごく怖いの。
「それはつまり、オレたち常世島の人間を、見下してるって事だよな?」
「違う!」
あたしは即座に否定した。
それは違う! 絶対に違うよ!
「自分の能力を失いたくないって気持ちと、能力を持たない人間を蔑視するって事とは・・・!」
「同じだろ?」
「・・・・・・!」
「結局、同じだよな?」
あたしの目を試すように覗きこむ浄火の目。
あたしはまた、言葉を失ってしまった。
唇だけはパクパク動くけど、声がノドの奥で行き詰る。
同じ? 結局ふたつは、同じ事なの?
・・・・・・同じ、なんだ・・・・・・。


