デコボコした不安定な地面を、バランスを崩しながら懸命に進んだ。
うお、うお、足が滑って転びそう!
「・・・・・・きゃっ!」
石と石の間に足を引っ掛けて、ドサッと前のめりに転んでしまった。
「里緒!? 大丈夫か!?」
「いってーー・・・」
うつぶせに倒れて呻くあたしのそばに、浄火が急いで戻ってきた。
そしてあたしを助け起こそうと手を差し伸べる。
何も考えずに、その手をつかもうとして・・・
「・・・・・・!」
あたしはバッと自分の手を引っ込めた。
この手をつかんだら、また能力を吸い取られる。
熱いヤカンにでも触れたような、そんなあたしの態度に浄火は息を飲んだ。
そして傷付いた表情で、唇をキュッと噛みしめる。
「・・・なんで手を引っ込めるんだよ?」
「な、なんでって・・・」
「なんでだよ?」
それは言わなくても、浄火だって分かってるじゃない。
なのに何で、あたしに言わせようとするの?
「言えよ。言えるだろ? オレに触れられない正しい理由があるのなら」
正しい理由。
責める様な浄火の言葉に、あたしはグッと詰まった。
理由はある。あるのに言えないのは・・・
あたしがその事に、罪悪感を持っているからだ。


