神様修行はじめます! 其の四


どんどん先に進む浄火に慌てて訴える。


「行っちゃダメだったら! 危険だよ!」


「オレは行く。里緒はここにいたかったら、いればいい」


ピタッと歩みを止めて、固い声で浄火は言った。


「オレについて来るか、ここにいるか。自分の意思で選んでくれ」


それだけ言って、またスタスタと先へ進み始める。


あたしはその背中を見ながら、途方に暮れて立ちつくした。


・・・なによそのセリフ。


そんなのズルイよ。そんなのってアリ?


ここであたしが浄火について行ったら、あたし、浄火を選んだ事になちゃうの?


・・・・・・・・・・・・。


ちょっと!


「恋愛の選択」と、「生還方法の選択」は、全く別次元の問題でしょ!?


そーゆーわけの分かんない理屈のこね方、ほんとヤメて!


そんな風に物事を複雑化する姿勢が、恋愛トラブルとご近所トラブルを誘発するのよ!


そんで示談がこじれて、結局は民事裁判で大モメになる事に・・・


って、それはともかく!


「待って浄火!」


浄火を一人で行かせるわけにはいかない。


命に危険が及ぶかもしれないってのに、いくらなんでも見過ごせない。


あたしは急いで浄火の後を追いかけた。


薄暗いし、人の手の入っていない洞窟は、足場が悪くてひどく歩きにくい。