神様修行はじめます! 其の四


なんて言えばいいんだろう?


言うべき事は分かっているけど、言い方が分からない。


どんな言葉を使えば、あたしは浄火を傷つけずに告げる事ができるんだろう。


『あたしはあなたを、恋愛対象としては見ていない』


この残酷な事実を。


「・・・・・・・・・・・・」


何の言葉にならず、口ごもるだけ。


返事をしない事が、逆に返事になった。


重くて辛い沈黙が、ふたりの間に流れ続ける。


騒ぎ立てる自分の心臓の音しか聞こえない。


こんな経験、生まれて初めてだ。


告白してきた男の子を断るなんて少女マンガみたいなシーンが、まさか自分の身に起きるなんて。


・・・ちょっとは嬉しかったりするのかな? って思ってた。


思いもよらずに寄せられた好意に、自分に自信がついちゃったりするのかな? って。


違う。

そんなの、全然・・・・・・。


目の前の浄火が不意に踵を返す。


そして一人で洞窟内を進み始めた。


「じ・・・浄火? どこ行くの?」


「出口を探しに行く」


「え? だって・・・」


「何もしないで、ボケっと助けを待つなんてオレはごめんだ」