なんて言えばいいんだろう?
言うべき事は分かっているけど、言い方が分からない。
どんな言葉を使えば、あたしは浄火を傷つけずに告げる事ができるんだろう。
『あたしはあなたを、恋愛対象としては見ていない』
この残酷な事実を。
「・・・・・・・・・・・・」
何の言葉にならず、口ごもるだけ。
返事をしない事が、逆に返事になった。
重くて辛い沈黙が、ふたりの間に流れ続ける。
騒ぎ立てる自分の心臓の音しか聞こえない。
こんな経験、生まれて初めてだ。
告白してきた男の子を断るなんて少女マンガみたいなシーンが、まさか自分の身に起きるなんて。
・・・ちょっとは嬉しかったりするのかな? って思ってた。
思いもよらずに寄せられた好意に、自分に自信がついちゃったりするのかな? って。
違う。
そんなの、全然・・・・・・。
目の前の浄火が不意に踵を返す。
そして一人で洞窟内を進み始めた。
「じ・・・浄火? どこ行くの?」
「出口を探しに行く」
「え? だって・・・」
「何もしないで、ボケっと助けを待つなんてオレはごめんだ」


