神様修行はじめます! 其の四


浄火はムスッとした声で反論する。


「猫がどうやって助けに来るんだよ。いいから行こうぜ」


「絹糸はただの猫じゃないよ」


「いいから。オレがちゃんと里緒を守ってやるから。黙ってついて来い」


「浄火、いやあの、だから・・・」


「里緒はオレの嫁だからな。だろ?」


うっと、言葉に詰まる。


あたしはそれに返事ができなかった。


あたしの沈黙のせいで、ふたりの間に気まずい空気が漂う。


考えてみたらあたし達・・・・・・ふたりきりだ。


薄暗い視界。向かい合う距離の近さ。


この息苦しい空間に初めて気が付いて、気持ちが落ち着かなくなる。


心臓が気忙しく鳴り始めて、あたしはうつむいた。


「里緒、さあ一緒に行こう」

「・・・・・・・・・・・・」


どうしよう。うつむいていても浄火の視線を感じる。


その強さと熱さに、皮膚が痛くなる。


浄火の言葉は、まるで願いを込めているようだった。


その切なさに気付いて、さらにあたしの心臓が粟立ち、手に汗が滲んだ。