これ・・・門川君の浮遊術だ!
とっさに術をかけて助けてくれたんだ!
極限まで緊張した全身の筋肉が、安心した途端にどおぉっと一気に緩む。
良かった! 助かった! 良かった良かっ・・・
あれ? ・・・なんだ、あたし泣いてる? いま気が付いた。
頬の涙をゴシゴシ手で拭いて、まだ激しく鳴っている心臓をなだめつつ、あたしは改めて周囲を確認した。
やっぱり暗くて良く見えないな・・・。
あ!
あたしは、もうひとつの白い輝きを見つけて胸を弾ませた。
少し下の方で光りながら降りていく、あの輝きは浄火だ!
ああ良かった! 門川君、浄火にも術をかけてくれてたんだ!
「おおーーい! 浄火ぁーーー!」
あたしの呼び声に応えた浄火が、こっちに向かって手を振っている。
大丈夫そうな様子にホッとした。
ふたつの輝きは、そのままゆっくりゆっくり底へと降りていく。
もうかなり深い所まで降りてると思うんだけど、まだ底まで着かないのかな?
・・・まさか途中で術が切れたりしないよね?
不安に目を凝らして下を見ていると、なぜか底の方がぼんやりと明るくなってきた。
明かり? なんで地の底に明かりがあんの?


