神様修行はじめます! 其の四


これ・・・門川君の浮遊術だ!


とっさに術をかけて助けてくれたんだ! 


極限まで緊張した全身の筋肉が、安心した途端にどおぉっと一気に緩む。


良かった! 助かった! 良かった良かっ・・・


あれ? ・・・なんだ、あたし泣いてる? いま気が付いた。


頬の涙をゴシゴシ手で拭いて、まだ激しく鳴っている心臓をなだめつつ、あたしは改めて周囲を確認した。


やっぱり暗くて良く見えないな・・・。


あ!


あたしは、もうひとつの白い輝きを見つけて胸を弾ませた。


少し下の方で光りながら降りていく、あの輝きは浄火だ! 


ああ良かった! 門川君、浄火にも術をかけてくれてたんだ!


「おおーーい! 浄火ぁーーー!」


あたしの呼び声に応えた浄火が、こっちに向かって手を振っている。


大丈夫そうな様子にホッとした。


ふたつの輝きは、そのままゆっくりゆっくり底へと降りていく。


もうかなり深い所まで降りてると思うんだけど、まだ底まで着かないのかな?


・・・まさか途中で術が切れたりしないよね?


不安に目を凝らして下を見ていると、なぜか底の方がぼんやりと明るくなってきた。


明かり? なんで地の底に明かりがあんの?