神様修行はじめます! 其の四


一瞬。

本当に全ては一瞬の間だった。


(あ、ヤバイ落ちた!)

と思った時にはもう、自分でもどうしようも無かった。


「天内君!? 天・・・・・・」


あたしの名を叫ぶ門川君の声が、急速に遠ざかっていく。


身を包む風の音と共に、呆気なくあたしは奈落に吸い込まれた。


たちまち周囲は真っ暗な闇に。


最高レベルの非常事態に、あたしは恐怖で完全にパニくった。


し・・・真剣にヤバイよこれ!


死ぬ! 死ぬ! あたしの人生終わったーーー!


心臓が、煙を上げそうなほど激しく動悸を打つ。


脳も筋肉も硬直して、『死』への意識だけが、あたしの全てを支配した。


ヘンなもん体中から撒き散らして地の底に横たわる、自分のイメージが頭に浮かぶ。


・・・・・・嫌だ!


その事実がひたすら恐ろしくて、絶対に認めたくなくて。


顔を引き攣らせながら宙を泳ぎ、躍起になって両手で空気をつかんだ。


死ぬのは・・・死ぬのは・・・


(嫌だあぁぁーーーーー!!)


―― フウッ・・・


不意に暗闇を白い光が照らした。


その光は、あたしの全身を包み込むように柔らかく輝いている。


それと同時に落下するスピードがガクンと遅くなった。