神様修行はじめます! 其の四


「浄火、お前も気の毒にな。よりによって滅火の一族の力に目覚めるとは」


「戌亥、お前・・・」


「ま、これも日頃の行いってやつじゃねえの? ハハハ」


「ハハハ。・・・じゃないっての! 金太郎のクセに!」


この非常時に笑ってる場合かっつーの!


しかも見せびらかすみたいに、斧をぷーらぷら揺らしちゃったりしてさ!


あんたの浅い考えなんかお見通しだよ!


どうせ長さんを脅して、自分を次の長に指名させる気でしょ!?


へっ、おあいにくさま! 


長さんはもう、隠しだてなんかする気は無いんだよ!


だからそんな脅しに屈服する理由は無いんだ!


「この島の未来を担うのは、浄火だよ! あんたじゃないもん!」


「里緒」


浄火が軽く首を振り、あたしの言葉を遮った。


「戌亥、聞いてくれ。オレは・・・」


浄火は静かな声で、でも熱心に戌亥に向かって語りかける。


「オレは島の長になんか、なるつもりはねえんだよ」


「・・・浄火!? なに言ってんの!?」


「たとえ指名されたとしても、辞退するつもりだったんだ」


浄火の声には真実味があった。


だからそれが、この場限りの出まかせじゃない事はすぐに分かった。


「ただ、オレを推してくれている仲間もいたから、なかなか言い出しにくかった」