神様修行はじめます! 其の四


「話は聞いたぜ。この洞窟の奥に、まさかそんな秘密があったとはな」


「き、聞いたって、どこで聞いたのよ!?」


「お前らの後をつけていたんだよ。気付かないとはマヌケなやつらだ」


「お菊人形にマヌケ呼ばわりされる筋合いなんか無い!」


強気で叫ぶあたしを、戌亥は斧を手にヘラヘラ笑って見ている。


その様子はどっからどう見てもアブナイ兄ちゃんだ。


ちょっと、笑わないでよ気持ち悪い!


お菊人形が斧なんて担いでたら、マサカリ担いだ金太郎以外の何ものでもないっての!


外国人観光客向けの、みやげ品かお前は! 


「おばあ様ぁ、おれ知らなかったよ」


「戌亥・・・」


「普段あんなに偉そうにしてるあんたが、裏でそんな事してたなんてなあ」


戌亥は狡猾そうな顔でニンマリした。


ヒッヒッと卑しい声を出し、肩を揺すって笑っている。


・・・だから、不気味だからやめろっての!


「戌亥よ、聞いておくれ! 全て事情があったのだよ。私は決してお前を・・・!」


「ああ、別にそれはもういいんだよ。おばあ様」


弁解しようとする長さんを、戌亥は軽く片手を振って止めた。


「言い訳聞くのも、面倒くさいしさあ」


そして、さも同情した声で白々しく浄火に話しかける。