「ねえ、寄生した異形ってさ、何とかして体外に出せないの?」
「私が知る限りでは、あの異形から逃れるには宿主が死ぬしかない」
長さんのシビアな答えに、マロさんの顔色が変わった。
全てを吸い尽くされてしまった宿主が死ねば、もうその体は役に立たない。
そうなってようやく、異形は体から出てくる。
じゃあ・・・・・・塔子さんはどうなるの?
浄火は? あたしはどうなるの?
天内の一族は、あたししかいない。
あたしの力を吸い尽くしてしまえば、浄火は干からびて死ぬだけ?
あたしは浄火に死ぬまで力を奪われ続け、もう二度と滅火の力を発動できないの?
・・・・・・そんなの嫌だよ!
「門川君や主さんの力で、治療できないかな!?」
「未知の異形だからな。対処法が分からない」
門川君は口元に手を当て、真剣に考え込んでいる。
主さんも難しい顔で首をかしげた。
「あたしの退魔の力が役立つかもしれないけど、ここの異形は普通の魔物とは違うからねぇ」
じ、じゃあさ! ホラ、駆虫剤って言ったっけ!?
虫下しの薬! ああいうの飲んだらいいんじゃないかな!?
うちの近所の犬が飲んだ時は、すっごい劇的に効いたんだけど!
「マジで効果的なの! いっぱい出てきたんだよ! アレと一緒にもう、大量に!」
「天内君」
「アレの表面にね、こう、細長いのがね、こんな感じにウニョウニョーっと!」
「天内君」
「なに!?」
「やめてくれ」
「・・・・・・は、はい。ごめんなさい」
し、しまった。つい無我夢中で・・・。