『さて・・・これで最後じゃな』


父親は、娘の顔を上向かせたままツボを近づけた。


『ど・・・して・・・?』


娘は、最期に父親に問いかける。


どうしても


どうしても


どうしても理解できない事を。


なぜ・・・・・・


なぜこんな仕打ちを、自分に与えるの? 


お父さん・・・・・・?


その悲しい問いかけに、父親は娘の目を見て、はっきりと答えた。



『ゴミを捨てるのに理由など無い』


『・・・・・・・・・・・・』



その言葉を耳に


子独楽は、完全に意識を喪失した。



父親が信子に見せつける様に、ツボを子独楽の口へ近づける。


『さあ信子よ、どうする? しゃべらねば死ぬぞ? 今度こそ死ぬぞ?』


放心状態の信子は、黙ってその光景を見つめていた。


『死ぬぞ? ほうれ・・・ほうれ』


あぁ、娘の口に・・・・・・


ツボが・・・


水が・・・


あああぁぁ・・・・・・・・・・・・。



糸が切れたように、信子の両肩が崩れ落ちる。


そして、ポツリと・・・・・・



『わかり、まし、た・・・・・・』



信子は


娘のために、世界を売った。