あたしの責任だ。不調を直視するのが怖くて、目を逸らしていたせいだ。
やっぱり異常な事態が、自分の中で起きていたんだ。
「オレが・・・」
不意に浄火が、振り絞るような声を出した。
「オレが、里緒の力を奪っているのか?」
無念と、自己嫌悪の塊のような声。
ひどい苦役を味わうように、浄火は問うた。
その問いの答えは皆が知っていたけれど、答えられる者はいなかった。
『そうだ』 とは・・・・・・誰も。
「当主殿、お話の続きを頼む」
沈痛な空気を破るように、門川君が長さんに続きを促した。
「待てよメガネ・・・。話を逸らすなよ」
浄火が低い声で口を挟む。
「今は、オレが里緒の力を奪った原因なのか? って話をしてんだろ?」
「今は、当主殿の話を聞く事が先決だ」
「同情かよ!?」
大声で浄火が叫ぶ。
「テメエのお情けなんざ、まっぴらだ! 責任があるなら正々堂々、オレは認める!」
「君の面目や自尊心など、僕はどうでもいい。そんなものに興味も必要性も感じない」
静かに、落ち着き払った声で門川君は言った。
「いま僕が一番知りたい事は、天内君や塔子殿を救う方法だ」
「・・・・・・」
「君が自虐に浸るのは勝手だが、それに付き合う時間は無い。自重してくれたまえ」


