神様修行はじめます! 其の四


あたしの責任だ。不調を直視するのが怖くて、目を逸らしていたせいだ。


やっぱり異常な事態が、自分の中で起きていたんだ。


「オレが・・・」


不意に浄火が、振り絞るような声を出した。


「オレが、里緒の力を奪っているのか?」


無念と、自己嫌悪の塊のような声。


ひどい苦役を味わうように、浄火は問うた。


その問いの答えは皆が知っていたけれど、答えられる者はいなかった。


『そうだ』 とは・・・・・・誰も。


「当主殿、お話の続きを頼む」


沈痛な空気を破るように、門川君が長さんに続きを促した。


「待てよメガネ・・・。話を逸らすなよ」


浄火が低い声で口を挟む。


「今は、オレが里緒の力を奪った原因なのか? って話をしてんだろ?」


「今は、当主殿の話を聞く事が先決だ」


「同情かよ!?」


大声で浄火が叫ぶ。


「テメエのお情けなんざ、まっぴらだ! 責任があるなら正々堂々、オレは認める!」


「君の面目や自尊心など、僕はどうでもいい。そんなものに興味も必要性も感じない」


静かに、落ち着き払った声で門川君は言った。


「いま僕が一番知りたい事は、天内君や塔子殿を救う方法だ」


「・・・・・・」


「君が自虐に浸るのは勝手だが、それに付き合う時間は無い。自重してくれたまえ」