『子独楽にあてがった従者が、ひとり残らず力を発動できなくなったのだ』
男が信子に向かって吐き捨てる。
『この娘が術者達から力を奪い取ったのだ。そうに違いない』
『バカな! ただの偶然でしょう!?』
『偶然ではない。確証を得るため、わしは子独楽ひとりを室内に閉じ込め、経過を見た』
すると、どうだ?
まるで干からびる様に、日に日に弱っていくではないか。
水や食料は充分に与えているのに、異常なほど急速に痩せていく。
まるで、日照りに襲われた植物のように。
干からびた水たまりの中の小魚のように。
色も艶も失われ、老女のようにカサカサと萎れて、しぼんでいく。
子独楽は完全に衰弱し、死ぬ寸前だった。
『そこで部屋に術者を入れると・・・途端に息を吹き返した』
子独楽はみるみる回復し、元気を取り戻す。
ところが、それに反して術者たちは一斉に力を失った。
試しに同じことを繰り返したが結果は同じ。
他の一族の術者でも試してみた。
が、力を奪われる様子は見られず、子独楽が一方的に衰弱していくだけ。
『子独楽は、自分が生きるために同族の力を吸い取っているのだ。我が一族の能力だけを』


