そう。その少女は・・・
変わり果てた姿ではあったが、間違いなく、信子の娘の子独楽だった。
ひたすら叫び続ける信子の目前で、船はピタリと停止した。
それ以上は近づくこともなく、誰ひとり下船する様子もない。
魔の海を挟んだこちらとあちらで、母と娘は再会した。
『子独楽! 子独楽! 子独楽!』
『信子よ・・・』
子独楽の横に、老いた男がスッと姿を現した。
それは、忘れもしないあの男。子独楽の父だ。
信子は男に向かい、我を忘れて叫んだ。
『これはどういう事ですか!? 子独楽はいったいどうなったのです!?』
『信子、よくもわしを騙して、こんな化け物を送りつけてきたな?』
『・・・ば、化け物!? 何を言うのですか!?』
『化け物の正体は分かっておる。この異形は、神の一族の能力を吸い取るのだろう?』
『な・・・・・・!?』
『すでに、八人やられた。お前は自分の娘を使って、わしに復讐しようとしたな?』
『意味が分かりません!』
神の一族の能力を吸い取る? 復讐?
何ひとつ理解できない言葉の渦の中、混乱の極みで信子は訴えた。
『子独楽の身に何が起きたのか、教えてください!』


