神様修行はじめます! 其の四


子独楽にとってこの別離は、母に捨てられる以外の何物でもなかった。


狂ったように泣きわめき、母の体に全力でしがみ付く。


それを力づくで引き剥がして船に乗せた。


『捨てないで! きっとよい子になるって、やくそくします! だから捨てないで!』


船から身を乗り出し、海に落ちんばかりに暴れて号泣する娘。


母は砂場に身を伏し、泣き崩れる他にない。


『おかあさん! おかあさぁぁぁーーーん!』


どこまでもどこまでも、海の彼方に響く声。


自分を慕い、恨み、呼び続ける声。


『・・・・・・こごまあぁぁーーー!!』


信子は手を伸べ、娘の名を叫ぶ。


海の彼方に去り行く我が子を、つかみ取ろうとするように


もうそれは・・・届かない。


二度と娘に会うことはないのだろう。


それでも、それでもあの子が生きて、幸せになってくれるなら。


それを信じて、耐えねばならぬ!


必死に、信じて・・・


「信子は必死に、信じて、いたのに・・・・・・」


長さんは、涙声で言った。


「子独楽は幸せになるどころか・・・・・・」