「別離? なんで別れなきゃならないの?」
「力ある者は、ここでは『よそ者』なのだ。もしこの事が漏れたら、この島では生きていけない」
あ・・・そ、そうか。
島民のよそ者に対する嫌悪感の凄まじさは、あたし達も身をもって知ってる。
子独楽ちゃんは、もう常世島には住めなくなっちゃったんだ。
「信子は我が子を手放す以外、選択は無かった」
力に目覚めた子独楽を、父親は喜んで引き取った。
何しろ相手は、子どもの数は多ければ多いほど良いのだから。
それに恐らく、この奇跡の裏には何かがあると感づいていたのだろう。
それを探り出そうという、腹に一物もあったに違いない。
子独楽は深夜、密かに父親の一族の船で島を後にした。
私と信子以外は、誰ひとり見送る者もなく。
子独楽は嫌がり、最後まで暴れて抵抗し続けた。
『いやだ! いやだ! おかあさん、あたしを捨てちゃいやだぁ!』
まだ、ほんの七つ。
我が身に起こった詳しい事情を、理解のできるはずもない。


