神様修行はじめます! 其の四


水を飲んだ子独楽は、驚異的な回復を見せた。


死ぬより他にないと思われていた傷が、あっという間に完治してしまったのだ。


信子は狂喜し、私も喜びながらも・・・・・・


不安を感じた。


あまりにも異常な効果が、逆に気がかりだったのだ。


(何か良からぬことが起きるのでは?)


・・・・・・いまさら。

そうだ。今さらもう後の祭り。


私は信子に水の存在を厳しく口止めしつつ、子独楽の様子を見守るしかなかった。


しばらくの間は、何事もなかったが・・・。



「奇跡が、起きてしまった」


長さんの頬が、苦しげに歪んでいる。


『奇跡』という輝かしい言葉とはまるで不釣り合いな、悔恨に満ちた声。


「子独楽に、神の一族の能力の兆しが見え始めたのだ」


漂う重圧な空気が、その先を暗示する。


惨憺たる結末の予感に不安を抑えきれず、全員、重く静まり返っていた。


やがて・・・長さんが再び話し出す。


「子独楽の体に、父方の能力の証が現れた。・・・ヘビのウロコが」


「・・・・・・え?」


「背中にウロコが生え、ヘビ特有の文様が浮かび上がったのだ」


・・・・・・ヘビの?