神様修行はじめます! 其の四


「私は、長としてそれが耐えられなかった」


なぜ常世の女だけが、これほどまでに苦しめられなければならない?


こちら側にいるというだけで、私たちは当然のように受け入れなければならないのか?


『嫌あぁぁ! 子独楽が・・・子独楽が、死ぬ! 死んでしまうー!』


私は・・・・・・・・・・・・



「私は・・・・・・抗った」


長さんのシワだらけの小さな手が、ギュッと強く握られる。


苦悩の塊を口から吐き出すように、その表情は痛みに満ちていた。


「固い掟を、破ったのだ」


水を・・・


決して口にしてはならぬと言い伝えられていた水を、子独楽に与えた。


異形が飲む、正体不明の水。


飲んだ人間がどうなるのかまでは、私も知らなかった。


でも私は信じた。縋るように信じた。


このまま子独楽を、そして島に尽くしてくれた信子を見殺しにして良いはずがないと。


私たちも、非情な定めに抗う事は許されるはずだと。